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信用取引の費用について徹底解説【NTT株は信用買するな】

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株の信用取引で、どのくらい費用がトータルでかかるかを把握していないひとは多いと思います。

実は信用取引の費用には「金利以外にも、貸株料、逆日歩、管理費、権利手数料、配当相当額」と様々な費用が必要となります。また管理費は1株あたりに掛かる費用で、権利手数料は権利日跨ぎの際に1取引ごとに掛かる費用であり、株単価の安いNTT株を信用買すると、投資額に対してかなりの額の信用費用を支払うことになります。

信用取引は基本的には、数日~数週間の短期トレードが推奨されます。仮に長期戦になりそうな場合には、信用買の場合は現引きを行ったり、信用売の場合は損切りや両建てしたりすることが大事です。

とはいえ、場面によっては信用取引をロングポジションで保有してしまうこともあるかと思います。

この記事では、信用取引をロングする場合にどのくらいの費用が掛かるのかを例題を交えて詳しく伝えしたいと思います。

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証券会社による違い

SBI証券と楽天証券は、現物・信用の取引手数料が無料で人気です。しかし、信用取引においては、金利や管理費などが必要であり、また、買金利は2.8%と証券会社のなかでも割高となります。

一方、野村證券は、取引手数料は有料(1取引524円)となりますが、SBI証券や楽天証券よりも買金利が0.85%と安く、長期で信用建玉を保有する場合だと、SBI証券や楽天証券よりも費用を抑えられる可能性もあります。

ここでは「開設口座No1のSBI証券」と「信用金利が最も安い野村證券」の2つの証券会社を例に、信用取引における費用を考えたいと思います。

信用取引の費用について

信用取引の一連の取引の流れは、
①株を信用買い or 信用売り
②建玉保有
③建玉返済

となりますが、その間において、様々な費用が発生しています。

それらを列挙すると下記となります。

  1. 売買手数料・・・売買時に必要
  2. 金利・・・株のレンタル代(信用買)
  3. 貸株料・・・株のレンタル代(信用売)
  4. 品貸料(逆日歩)・・・制度信用で株不足の際に必要な特別料金
  5. 管理費・・・1か月毎に必要な費用
  6. 名義書換料・・・権利確定日毎に必要な費用
  7. 配当金相当額・・・信用買で配当金の代わりに受け取る金額。信用売だと逆に支払う

このように、信用取引には様々な費用が必要であり、このあたりを計算しておかないと、思っていた以上に費用が掛かっていることになります。

信用取引の種類

信用取引には、信用買いと信用売りの2パターンがあり、それぞれ、費用の考え方が異なります。

また、制度信用、一般信用といったものがあり、金利や逆日歩の計算が異なったりします。

また、配当金は貰えないのですが、代わりに配当金相当額という名目で、信用買いでは貰えたり、信用売りでは逆に支払ったりする必要があるので、ここもややこしい点となります。

ちなみに制度信用とは「証券取引所」が定めた標準的な取引条件に基づいて行われ、返済期限は通常6ヶ月です。株が不足して、逆日歩(1日/1株当たりに支払うお金)が発生した場合は、信用買いは逆日歩の代金を貰うことができ、一方、信用売りのひとは逆日歩の代金を支払うことになります。

一方、一般信用とは「証券会社」との個別の契約に基づいて行われます。返済期限や金利、手数料などが柔軟に設定でき、期日は無制限のものがおおいです。一般信用の場合は、逆日歩による代金の支払いや受け取りはないです。

このように、信用取引には多くのパターンがあり、それぞれで計算方法は異なるため、一体自分がいくら費用を払っているのかが非常に分かりずらいです。

SBI証券での信用費用について (2024年8月)

SBI証券における信用取引についての必要経費についてまとめたのが下記になります。

※下記情報は2024年8月のものであり、今後、日本の金利が上昇した場合に、買金利などの数値が変更となる場合もありますので、ご注意ください。

項目内容信用買信用売
①売買手数料取引・返済に掛かる手数料無料無料
②金利信用買のレンタル代年間2.8%
(経過日数で計算)
③貸株料信用売のレンタル代年間1.1%
(経過日数で計算)
④品貸料(逆日歩)制度信用で株不足の際に
必要な特別料金
制度信用:貰える
一般信用:貰えない
制度信用:支払う
一般信用:支払わない
⑤管理費1か月毎に必要な費用月あたり11銭/株
※建玉上限は1100円、
 下限は110円
月あたり11銭/株
※建玉上限は1100円、
 下限は110円
⑥名義書換料権利確定日をまたぐ際に
必要な費用
売買単位あたり55円
⑦配当金相当額配当金の代わり配当金相当額を貰える
制度信用:84.685%
一般信用:84.685%
配当金相当額を支払う
制度信用:84.685%
一般信用:100%

ここで注意が必要なところをお伝えします。

まず、②金利と③貸株料。これから信用建玉を長期で保有するときに、一番金額が大きくなるところです。例えば、100万円の買建玉を82日保有した場合は、100万円×2.8%×82日/365日 = 6290円を支払うことになります。土日を挟む場合は、3日分の金利を支払うことになりますのでご注意ください。

次に、④品貸料(逆日歩)。制度信用で信用売をする場合は、思いがけない金額を出費する可能性があるので注意が必要です。一般信用売りの場合は、支払わないので気にしなくて良いです。逆に信用買いの場合は貰えます。

次に⑤管理費です。管理費で注意が必要な点は、月あたり1株あたりで必要となるところです。つまり、株価の安い(例えばNTT)銘柄を大量の株数で保有する場合は、無視できない金額を毎月支払うことになります。

⑥名義書換料は、売買単位ごとに必要です。例えば、1000株を信用買いした場合、権利確定日が年2回の場合は、年間110円だけでよいです。逆に100株×10回の信用買いをした場合、権利確定日が年2回の場合は、年間1100円必要となります。

以上のように、SBI証券における信用取引は、金利による費用が主となりますが、例外として、株価の安い銘柄を大量長期保有したり、1単元の売買を多く行い長期保有する場合には、⑤管理費や⑥名義書換料がかなりの費用になる可能性があります。

野村証券での信用費用について (2024年8月)

次に、野村證券についての信用取引費用についてお伝えします。

野村證券の信用取引費用のほとんどはSBI証券と同じですので、SBI証券と異なる点だけ黄色でハッチングしています。

項目内容信用買信用売
①売買手数料取引・返済に掛かる手数料1048円
(524円×往復)
1048円
(524円×往復)
②金利信用買のレンタル代年間0.85%
(経過日数で計算)
③貸株料信用売のレンタル代年間1.15%
(経過日数で計算)
④品貸料(逆日歩)制度信用で株不足の際に
必要な特別料金
制度信用:貰える
一般信用:貰えない
制度信用:支払う
一般信用:支払わない
⑤管理費1か月毎に必要な費用月あたり11銭/株
※建玉上限は1100円、
 下限は110円
月あたり11銭/株
※建玉上限は1100円、
 下限は110円
⑥名義書換料権利確定日をまたぐ際に
必要な費用
売買単位あたり55円
⑦配当金相当額配当金の代わり配当金相当額を貰える
制度信用:84.685%
一般信用:84.685%
配当金相当額を支払う
制度信用:84.685%
一般信用:100%

ここで注意が必要なところをお伝えします。

①売買手数料については、野村證券では信用取引を行うごとに一律524円、売買と返済の往復で計1048円の売買手数料が必要になります。どんなに小さな取引額だろうが、数千万円を超える取引だろうが、一律524円となります。ここがSBI証券や楽天証券と比較して、不利なところになります。

一方、②金利は、年間0.85%と業界最安であり、信用買を長期で行う場合は野村證券がもっとも信用費用を抑えることができます。例えば、100万円の買建玉を82日保有した場合は、SBI証券では100万円×2.8%×82日/365日 = 6290円を支払うことになりますが、野村證券の場合は100万円×0.85%×82日/365日 = 1910円となり、売買手数料は必要となりますがそれよりも金利の支払い額が減少するため、トータル費用としては野村證券がお得になります。

また、③貸株料は、年間1.15%とSBI証券よりもわずかに高いです。売買手数料も必要になるため、信用売りについては、SBI証券で行う方が費用は節約できることになります。

以上より、野村證券は、売買手数料は必要となりますが、信用買における金利が0.85%と安いため、長期で信用買の建玉を保有する事態になったときには、費用を抑えることができるメリットがあります。

【例題】信用取引の年間費用トータル

ここからは、実際に信用建玉を1年間保有した場合にかかる年間費用トータルについて試算したいと思います。

計算方法は、
「信用買の年間費用 = +配当金相当額 ー もろもろの経費」
「信用売の年間費用 = – 配当金相当額 ー もろもろの経費」
としています。

下記の4つのパターンにおいて、SBI証券と野村證券とのそれぞれで「信用取引における年間費用トータルの試算」を行いました。その結果も載せています。

条件SBI証券
年間費用
野村證券
年間費用
パターン① NTT株
100万円(7000株)
信用買
▲26,000円▲6400円
パターン②NTT株
10万円×10回(700株×10回)
信用買
▲105,130円▲95,000円
パターンNTT株
100万円(7000株)
信用売
▲53.832円▲55,409円
パターン④KDDI株
100万円(200株)
信用買
▲9,370円+7745円
※前提:1年間ガチホなので一般信用となります。株価は1年間一定とします。

パターン① NTT株 100万円分を信用買で一括購入

NTT株 100万円分を信用買で一括購入した場合、SBI証券だと信用取引の年間費用トータルはマイナス26000円、野村證券だとマイナス6400円となります。

NTT株は配当利回り3.4%あるので、そこから税金が引かれた金額の配当金相当額が貰えます。しかし、それよりも金利や管理費、権利手数料の合計の方が大きいため、トータルとしてはマイナス収支となります。

また、金利が2.8%と高いSBI証券に対して、金利が0.85%と安い野村證券の方が、年間費用を安く抑えていることが分かるかと思います。

以上より、信用買を長期保有する場合は、金利が安い野村證券が有利となります。

パターン② NTT株 100万円分を信用買で10回に分けて分割購入

次に、一括購入ではなく、10回に取引を分けて購入した場合を考えます。

パターン①の一括購入と比較して、パターン②の10回に分けて取引した場合は、管理費が大幅に増加し(月上限の1100円に引っかからなくなるため)、さらに権利手数料も10倍必要(取引数が10倍になるため)になります。

このため、SBI証券では、投資額100万円に対して、信用費用は約10万円必要になり、投資額にたいして10%もマイナスになります。金利の安い野村証券でも、費用9.5万円と多額の費用が必要になります。

⇒取引回数が多く少ない金額の信用買を長期保有する場合は、管理費や権利手数料が無視できないくらい多額になるので注意が必要です。このような取引は現引きや損切りするなど、素早い判断が必要になります。

パターン③ NTT株 100万円分を信用売した場合

次に、NTT株100万円分を一括で信用売した場合の費用を考えます。

パターン①の信用買では配当相当額が年2回貰えるのに対し、パターン③の信用売では配当相当額を年2回支払わなければなりません。

このため、信用売で配当月をまたぐ場合は、配当相当額を支払うことになるため、費用が増加します。

以上より、信用売を長期で保有する場合は、配当相当額を支払う必要があります。高配当な銘柄を信用売する場合は、配当金相当額の支払いに注意しましょう。

パターン④ KDDI株 100万円分を信用買で一括購入

最後に、単価の安いNTT株(株単価151円)ではなく、単価の高いKDDI株(株単価4657円)を買った場合の費用を考えます。

100万円分で考えた場合、NTT株では7000株が必要だったのに対し、KDDI株だと200株程度で到達できます。管理費は、1株あたり月11銭かかります。このため、株数が少ないKDDI株だと、管理費がかなり安くなります。

1年間の信用費用は、SBI証券だとマイナス9370円、野村證券だとプラス7745円となります。金利の安い野村證券は、配当金相当額がその他もろもろの経費を上回るため、トータル収支としてはプラスになります。

以上より、株単価が高く配当利回りの良い銘柄を信用買した場合は、管理費が比較的安く抑えることができ、配当金相当額の方がその他もろもろの経費を上回るため、1年間、信用買を保有し続けたとしても、プラス収支となります。

さいごに

信用取引の費用には、金利以外にも管理費や権利手数料など、多くの費用が掛かります。

特に、株単価の安い銘柄を大量に保有してしまうと、かなりの信用費用が必要となります。NTT株みたいな株単価が百円程度のものを長期保有すると、年間で10%近くも費用が必要となり、かなりの確率でトレードは失敗するかと思います。このような株単価が安い銘柄は現物でのトレードが良いかと思います。

一方、株単価が高く、配当利回りの良い銘柄を選定することで、配当相当額がその他もろもろの経費を上回るため、プラス収支で1年間、信用建玉を保有することもできます。このような株単価と配当利回りが高い銘柄は、信用取引を短期トレードで構えておいて、何かの拍子で長期トレードに移行することもできます

このように、株単価、配当利回り、株式保有数、保有期間などの状況に応じて、信用取引の費用を考慮し、勝率の高いトレードを心がけることが大事かと思います。

以上となります。
これから信用取引をはじめる方に参考頂けたらと思います。

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